10 公衆衛生に関する法規
2 調理師法
1 目的
調理師の調理技術の合理的発達、調理従事者の資質の向上、国民の食生活の向上のために資格要件などの調理師の資格(免許制)を定めた、調理師の身分法です。
2 調理師の定義
調理師法における調理師とは、「調理師」の名称を用いて調理の業務に従事すことができる者で、都道府県知事から免許を受けた者をいう。調理師でない者が、調理師を称したり紛らわしい名称を用いたりすることも許されません。これを「名称独占」といいます。ただし、免許がなくても調理業務につくことはできます。
調理師免許がない者が調理師と紛らわしい名称を使用者した場合、名称独占違反として30万円以下の罰金に処されます。
3 調理師免許の取得
調理師の免許を取得するためには、養成施設で技術・知識を学ぶ方法と、一定の経験を積んでから試験を受ける2つの方法があります。
| 養成施設を終了する | 都道府県知事が指定した(調理師養成施設(調理師学校)で、1年以上、調理師として必要な知識・技術を習得した者は、都道府県知事に申請して免許の交付を受けることができる。 |
| 調理師試験に合格する | 厚生労働省令で規定された飲食営業施設で2年以上の調理実務経験がある者は、都道府県知事が実施する調理師試験に合格したのち、都道府県知事へ申請して免許の交付を受けることができる。 ウェイトレス、出前持ち、皿洗いなど調理に携わらない業務は、実務経験として認められない。 |
4 調理師免許証の申請
調理師試験に合格するか、指定養成施設を終了しただけでは、免許資格を取得しただけで、免許を与えられたということにならない。免許申請の手続きを行い、名簿に登録され、免許証が交付されてはじめて「調理師」を名乗ることができます。
●申請手続き
免許の申請は、住所地の都道府県知事に対して行います。必要な書類は、以下の4つです。
① 調理師免許申請書② 免許取得資格があることを証明する書類(調理師試験の合格証明書か指定養成施設の卒業証明書)
③ 戸籍謄本または抄本、もしくは住民票
④ 麻薬、あへん、大麻、覚せい剤の中毒者ではないことに関する医師の診断書(普通の健康診断書では不可)
●免許証の交付
免許を申請すると、書類に間違いがなければ知事は都道府県に備えられている調理師名簿に免許に関する事項を登録します。登録後、都道府県知事から調理師免許証が交付されます。
5 免許の変更手続き
免許を受けたあと、身分上の変動があれば登録や免許証の取扱について所定の手続きを免許の受けた都道府県知事に対して行います。
| 名簿の訂正 | 本籍地の変更や結婚・養子縁組などで氏名に変更があった場合は、30日以内に名簿の訂正を申請しなければならない。 |
| 登録削除 | 調理師が死亡または失踪宣告を受けたときは、30日以内に戸籍法に定める届出義務者(同居している親族、親族以外のその他の同居者、家主、地主、家屋土地管理人など)は、調理師名簿からの削除の申請をしなければならない。調理師自ら削除したい場合も申請する。 | 免許証の書換交付・再交付 | 免許証の記載事項に変更があった場合は、書換交付を申請することができる。免許証を破ったり、汚したり、紛失したときは免許証の再交付を申請することができる。 |
| 免許証の書換交付・再交付 | 免許証の記載事項に変更があった場合は、書換交付を申請することができる。免許証を破ったり、汚したり、紛失したときは免許証の再交付を申請することができる。 |
| 免許証の返納 | 登録削除を申請する場合や免許の取消処分を受けた場合は、5日以内に免許証を返納しなければならない。免許証の再交付後になくした免許証が出てきたときも、出てきたほうを5日以内に返納する。 |
6 調理師の設置努力義務
1981年の調理師法の改正により、飲食営業施設は調理師を置くよう努めなければならない(設置努力義務)と定められた。
調理師法では、飲食店などで調理の業務に従事する調理師は、2年ごとに12月31日現在における氏名、住所などを、就業地の都道府県知事に翌年の1月15日までに届け出ることが義務付けられている。
7 調理技術の審査
調理の技術・技能を高め調理師の地位向上を図り、食文化の発展、国民の食生活の向上・改善に寄与することを目的として、毎年すくなくても1回「調理師技術審査」が厚生労働省から委託を受けた一般社団法人調理技術技能センターにより実施されます。この試験に合格すると、厚生労働大臣より「〇〇専門調理師・調理技能士」の称号が与えられ、証書が交付されるほか、調理師学校の教員資格も与えられます。
8 調理師の役割
食品を調理し、食物として提供することが調理師の役割ですが、人が健康に生活できるための食事の提供、そして喫食者の嗜好を満足させ喜びを与える料理の製作、食の安心・安全の確保、生活習慣病の予防、食育の実践、食資源の有効利用といった役割も担っています。